
2018年、リアルタイム対戦型モバイルカードゲーム「クラッシュ・ロワイヤル」(以下、クラロワ)の会見で発表された「クラロワリーグ アジア」※1(以下、プロリーグ)の発足とチームメンバーの募集。今回は、「プロリーグ」に参戦している「GameWith」所属、高校生でプロゲーマーになった「shun」(シュン)選手にインタビューを敢行。勝利に対しての気持ちなどを聞いた。
プロフィール
GameWith
株式会社GameWithが運営する日本のプロゲーミングチーム。2018年3月の「プロリーグ」発足と同時に、「クラロワ」のプロチーム部門を設立し、活動を開始した。所属するチームメンバーは、「shun」選手、「KK19212」選手※2、「アマテラス」選手※3、「ユイヒイロ」選手※4、「ZEROS」選手※5。
「shun」選手

リアルタイム対戦型モバイルカードゲーム「クラロワ」のプロゲーミングチーム「GameWith」所属のプロゲーマー。現在高校2年生。(2018年4月28日時点)
2017年に開催された「クラロワ」の非公式リーグ「Royale Premier League」※6(以下、RPL)で、アジア1位を獲得した。
Twitter:https://twitter.com/shun_CR923
「クラロワ」はどんなゲーム?
「クラロワ」は、8枚のカードで構成されるデッキを駆使し、3分間の対戦中、自分のタワーを守りつつ敵のタワーを攻める、リアルタイム対戦型モバイルゲーム。
2017年には、初の「日本一決定戦」と「世界一決定戦」を開催。2018年は「プロリーグ」の発足もあり、スマホゲーム業界を牽引するゲームの1つに進化している。
ゲームをもっと知りたい方はこちら「shun」選手 ロングインタビュー
「アマテラス」選手の一言が、プロゲーマーの道を開いた

── 小学生の頃はどのような少年でしたか?
shun:小学校の頃は、運動ばかりやっている少年でした。小学校が終わると、友達とサッカーや鬼ごっこをして遊んでいました。
当時は、テレビで「イナズマイレブン」※7が放送されていたので、サッカーで遊んでいたのは、「イナズマイレブン」の影響が大きいと思います。
── ゲームで遊び始めたのは、いつ頃だったんですか?
shun:僕がゲームで遊び始めたのは、小学校に入ってすぐです。僕がゲームで遊び始めたのは、小学校に入ってすぐです。両親に携帯ゲーム機を買ってもらって、僕はよくRPGで遊んでいました。
── RPGは、どういうところが楽しくて遊んでいたんですか?
shun:僕は、強いキャラクターを集めて、友達と対戦するのが楽しかったです。
── 小学校の頃から対戦ゲームに慣れ親しんでいたんですね。
shun:はい。そのゲームのおかげで、小学生の頃から対戦して勝つ喜びを覚えていました。僕がプロゲーマーになった「クラロワ」にも通じるものがあると思っています。
── 「クラロワ」をやり始めたのは、いつ頃ですか?
shun:僕は、中学校の頃に「クラロワ」を始めました。
面白そうなゲームはないかと、Apple Storeを見ながら探していたところ、「クラロワ」が目に留まりました。これは面白そうだと思い、その場で「クラロワ」をインストールしてやり始めました。
その時は、僕の周りでは誰も「クラロワ」で遊んでいる人がいなかったので、1人でのめり込んで遊んでいましたね。
── 中学校の頃、友達と何のゲームで遊んでいたんですか?
shun:僕が中学校の頃は、友達と「スプラトゥーン」※10で遊んでいました。友達との話題は、いつも「スプラトゥーン」で、僕も積極的に「クラロワ」の話はしていなかったと思います。
── 「クラロワ」の話をするなら、ツイッターで知り合った人たちですか?
shun:そうです。「クラロワ」の話は、自然とツイッターで知り合った人たちとすることが多くなりましたね。
「クラロワ」の場合、ツイッターのつながりが強くて、まったく知らない人だったところから、ツイッターで話しているうちに仲良くなった人も大勢います。
── プロゲーマーの選考過程で、「shun」選手は「20勝チャレンジ」※11の後、プロゲーマー選考会には行けなかったとお聞きしました。
shun:そうです。「20勝チャレンジ」はクリア出来たのですが、その後の「1000人大会」※12で連敗してしまい、僕はプロゲーマー選考会に行く権利がもらえませんでした。
でも、その後「アマテラス」選手から突然「プロゲーマーになることに興味はないか」と、ツイッターのDM※13が届きました。最初は、まさか「アマテラス」選手から連絡が来るとは思っていなかったので、すごくびっくりしたのですが、僕はこの連絡が「プロゲーマーになれる最後の希望だ!」と思いました。
「アマテラス」選手から連絡が来た次の日に、僕は「GameWith」のチームオーナーと連絡を取り、次の日にはチームオーナーと僕で二者面談をしました。翌週には、両親も交えて三者面談をして、両親からも「プロゲーマーになっても良い」と言われ、「クラロワ」のプロゲーマーになることが決まりました。
── 高校の友達は、「shun」選手がプロゲーマーになったことは知っていますか?
shun:プロゲーマーの内定が出た時、僕は「クラロワ」をやっている本当に仲の良い友達にだけ言いました。
その後、記者会見で「クラロワ」のプロゲーマーが発表された次の日には、高校のみんなに僕がプロゲーマーになったことを知られていましたね。
僕がクラスに入った途端、クラスメイトがどよめいて、「頑張れ!」と応援してくれたり、「プロゲーマーになるような人だったのか!」と驚かれたりました(笑)。
── 高校では、どのくらいの人が「クラロワ」で遊んでいますか?
shun:僕の高校では、「クラロワ」はあまり流行っていないので、僕が「クラロワ」のプロゲーマーになったことによって、高校でも「クラロワ」で遊んでくれる人が増えると嬉しいです。
また、高校でも一緒に「クラロワ」で遊べる友達が増えたらいいなと思います。周りに「クラロワ」で遊んでいる友達が増えたら、「クラロワ」の話で盛り上がって、楽しい毎日が過ごせると思います。
── 高校の先生は、プロゲーマーになったことを応援してくれていますか?
shun:はい!先生には「僕はプロゲーマーになります」と伝えたところ、先生からは「勉強しながらプロゲーマーも頑張ってね」と応援してくれました。
── 「クラロワ」と勉強は、どのくらいの割合で行っていますか?
shun:僕は、高校が終わって家に帰ってから、ほとんどの時間を「クラロワ」の練習に使っています。
── 「クラロワ」と勉強を両立するために、気を付けようとしていることはありますか?
shun:僕は、学校と家でメリハリをつけ、学校では授業に集中して取り組み、家では「クラロワ」に集中して取り組みたいと思います。
年が近いからこそ、「クラロワ」以外の話題でも盛り上がることが出来る良いチーム

── 毎日どのくらい「クラロワ」をやっていますか?
shun:僕は、一日に4時間から6時間くらい「クラロワ」をやっています。
── ゲームをしていない時間は、何をして過ごしていますか?
shun:YouTubeを見ていることが多いですね。「クラロワ」の実況動画を見たり、別のゲームの実況動画を見ています。
── 研究熱心ですね。現在の練習は、どういったことを行っていますか?
shun:チームメンバー4人でフレンドバトル※14をしたり、マルチプレイ※15で一緒に協力バトル※16の練習をしています。
── 「GameWith」のチームメンバーは、昔から知っていた仲だとお聞きしました。会って話してみた時に印象などに変化はありましたか?
shun:「ユイヒイロ」選手は、第一印象では寡黙な人だと思っていました。
YouTubeなどに公開されている「クラロワ」の動画を見て、チームメンバー4人で話をしていくうちに、「ユイヒイロ」選手が、他のチームの分析などを率先してやってくれていたので、とても深く考えながら「クラロワ」をやっている人だと思いました。なので今は、分析家という印象に変わりましたね。
「KK19212」選手は、何度か「クラロワ」のオフ会などで会ったことがあり、以前からの知り合いだったので、これから同じチームで戦えることが楽しみになりました。
「アマテラス」選手は、初対面だったのですが、元気に挨拶や返事などをしていて、時には「ヨーソロー!」と言っているのを見て、面白い人だと思いました(笑)。
── 「GameWith」のチームメンバーは、どのような役割ですか?
shun:分析役は「ユイヒイロ」選手で、盛り上げ役は「アマテラス」選手です。
「KK19212」選手は、口数は少ないですがチーム1の努力家で、いつも「クラロワ」をやりながら盛り上がっています。僕も「KK19212」選手の試合を見ながら、対戦相手のプレイングにツッコミを入れたりしています(笑)。
また、チームメンバー4人は、年が近いこともあり「クラロワ」以外の話も出来るので楽しいですし、仲が良いと思います。いろいろな話が出来るおかげで、常にコミュニケーションを取れていて、「クラロワ」も良いチームワークが出来上がっているのではないかと考えています。
── どのようなチームにしていきたいですか?
shun:楽しみながら勝てるチームにしていきたいです。
── 「shun」選手が「プロリーグ」でマークしている日本のチームや選手はいますか?
shun:僕は、「FAV Gaming」※17の「RAD」選手※18、「けんつめし」選手※19をマークしています。
2人は、デッキのレパートリーが多いので、どんなデッキを使ってくるのか分からないところが怖いです。
対戦相手がどんなデッキで来ても勝てるくらい、みんなで練習をしていけたらと思います。
── 海外の選手でマークしている人はいますか?
shun:韓国の「KING-ZONE DragonX」に所属している「July」選手※20をマークしています。グローバルランキングで、何度も1位を獲得したことがある選手です。
「July」選手は、ラヴァハウンド※21デッキの使い方が本当に上手く、僕もラヴァハウンドデッキを使っているので、もし「プロリーグ」で戦うことがあれば、絶対に負けたくない相手です。
── 過去に戦ったことはあるんですか?
shun:「July」選手とは、まだ戦ったことがありません。僕が一方的にマークしていますね。
ゲーム内のリプレイや動画配信などで「July」選手の対戦を見たことがあり、本当にそのデッキを極めた選手というのは、同じデッキを使っているはずなのに、ユニットが違うのではないかというくらい、使い方が違います。
動画配信を見ていても、なぜ勝てるのか、僕では分からない試合もあります。
僕は、いつか本当に上手い選手にも勝てるようになりたいですし、日本の3チームに勝利して、僕も海外選手にマークされる選手になりたいですね!
── 「プロリーグ」のルールでは、第1セットが1対1の対戦で、第2セットが協力バトルの対戦になりますが、「shun」選手はどのセットに出たいですか?
shun:僕は、第2セットの協力バトルに出場したいです。仲間と試行錯誤しながらデッキを練習している時間も楽しいですし、仲間と勝てた時は喜び合えるので、協力バトルに出場するのが楽しみです。
また、もし僕が第1セットの1対1に出場するのであれば、先に対戦相手が使ってくるデッキを分析しておいて、僕と対戦相手のデッキの相性で勝ちにいきたいと考えています。
僕は、「GameWith」のチームメンバーの中では、デッキのレパートリーは多い方ですが、1つのデッキの強さは、チームメンバー3人に比べると劣っています。
チームメンバー3人は、1つか2つのデッキを極めているので、特定のデッキを使うとずば抜けて強く、その他のデッキを使うと少し劣っているくらいです。
そのため、1対1であれば、僕よりもチームメンバー3人の誰かが出場した方が有利かもしれません。
── もしも、負けが続いてしまった時は、どのように自分を立て直そうと考えていますか?
shun:僕は、以前からゲーム大会などで負けた時に、気持ちの切り替えが遅いタイプだと感じています。
2017年に、「クラロワ」非公式の「RPL」というゲーム大会があって、緊張で気持ちが焦って、頭が真っ白になってしまったことがありました。僕は、初手でゴーレム※22を出すという、いつもなら絶対にやらないミスを起こしてしまいました。
このようなミスをしてしまったことで、僕自身かなり落ち込みました。そのことをツイッターで嘆いていたのですが、ツイッターでつながりのある人たちが励ましてくれました。
その時に、負けてしまった時は、すぐに気持ちを切り替えて、次の大会に向けて考えていけるようになりたいと思いました。
また、僕は、励ましてくれる人たちがいたから立ち直ることが出来たので、もしもチームメンバーが負けてしまったとしても、みんなで励まし合って、気持ちを切り替えていきたいと思います。
── ゲームを通して気づいたことや、学んだことはありますか?
shun:僕は、ゲームをやるまで自分が負けず嫌いだとは思っていなかったのですが、「クラロワ」をやっていて自分が負けず嫌いな性格だと、初めて気づきました。
また、僕がゲームで学んだことは、冷静になることです。落ち着いて考えれば、一つ一つの問題を解決できるということを学びました。
── 「クラロワ」は、どのような人が向いているゲームだと思いますか?
shun:「クラロワ」は、負けず嫌いな人や、戦術を駆使して対戦するのが楽しいと感じる人に向いていると思います。
── Supercell社が「プロゲーマーの皆さんにはファンを作っていってほしい」と言っていましたが、「shun」選手はどのような選手になっていきたいですか?
shun:僕は、「プロリーグ」ですごいプレイングを見せられる選手になって、視聴してくれる人を楽しませたいです。
── プロゲーマーとして、どのような役割を担っていきたいですか?
shun:僕は、チームを勝利に導ける選手になりたいです。僕が勝って、チームを引っ張っていき、仲間の調子を上げられるようになりたいです。
── 「shun」選手の将来の夢は?
shun:僕は、コンピューター関係、もしくはゲーム関係の仕事につきたいと考えていて、中でもプログラマーに興味があります。
高校で進路を決める時に、体験学習でプログラマーの仕事を見せてもらう機会がありました。プログラマーの仕事内容が、とても面白そうだったので、やってみたいと考えるようになりました。
── このままずっとプロゲーマーを続けるという選択肢はありますか?
shun:プロゲーマーは、ずっと出来るのではあれば、もちろんやっていきたいですが、まだプロゲーマーの収入だけで生活できるような世の中ではないと思っています。
プログラマーになるかプロゲーマーを続けるかは、状況次第で変わると思うので、まだどちらになるかは分からないです。
── 最後に、今後の目標と意気込みを教えてください。
shun:目標は、アジア1位、そして世界1位です!僕が他のチームの選手と戦う時は、勝率は7割を超えたいと思っています。僕が勝つことで、チームを勝利に導いていけたらと思います!
以前のインタビュー記事も掲載中!こちらも合わせてご覧ください。
「GameWith」所属プロゲーマーインタビュー 一覧
プロリーグに参戦中のチームインタビュー 一覧

※1 クラロワリーグ アジア:フィンランドのSupercell社が主催するプロゲーマーのみのリーグ戦。リーグ戦は、プロチーム同士がそれぞれに対戦を繰り返し、対戦結果を総合した成績によって順位を決定する対戦形式。
※2 KK19212選手:リアルタイム対戦型モバイルカードゲーム「クラロワ」で、「GameWith」に所属しているプロゲーマー。
※3 アマテラス選手:リアルタイム対戦型モバイルカードゲーム「クラロワ」で、「GameWith」に所属しているプロゲーマー。2017年に開催された日本一決定戦では2位、同年に開催された世界一決定戦に出場。
※4 ユイヒイロ選手:リアルタイム対戦型モバイルカードゲーム「クラロワ」で、「GameWith」に所属しているプロゲーマー。
※5 ZEROS選手:リアルタイム対戦型モバイルカードゲーム「クラロワ」で、「GameWith」に所属しているプロゲーマー。2017年に開催された日本一決定戦では3位。2018年6月に加入したため、「shun」選手のインタビュー内のメンバーには含まれていない。
※6 Royale Premier League:ヨーロッパ、アメリカ大陸、アジア太平洋などに分かれて実施される、オンラインの「クラロワ」非公式のリーグ戦及び、トーナメント戦。
※7 イナズマイレブン:株式会社レベルファイブが製作したニンテンドーDS用ソフト。(ニンテンドーDSについては後述)ゲームを原作とした漫画、テレビアニメ、映画などを展開している。
※8 ニンテンドーDS:任天堂株式会社が2004年に発売した携帯型ゲーム機。
※9 ポケットモンスター:株式会社ポケモンから発売されているゲームソフトの総称。この記事では、ポケットモンスターシリーズの全作を通して「ポケモン」と記載。
※10 スプラトゥーン:任天堂株式会社から発売されているゲームソフトの総称。この記事では、スプラトゥーンシリーズの全作を通して「スプラトゥーン」と記載。
※11 20勝チャレンジ:「クラロワ」内のゲームモードの一つ。3敗する前に20勝をするチャレンジモード。
※11 1000人大会:「クラロワ」内のゲームモードの一つ。1000人まで大会に入ることができ、1時間の間に多くポイントを集めた人が勝者となるチャレンジモード。
※13 DM:ダイレクトメッセージの略。非公開で会話が出来る方法。ツイッターでは、最大50人でダイレクトメッセージが可能。
※14 フレンドバトル:「クラロワ」内のゲームモードの一つ。「クラロワ」内で作った友達とバトルが出来る。
※15 マルチプレイ:「クラロワ」内のゲームモードの一つ。世界中のユーザーと対戦が出来る。
※16 協力バトル:「クラロワ」内のゲームモードの一つ。2対2のバトルが出来る。
※17 FAV Gaming:株式会社Gzブレインが運営する日本のプロゲーミングチーム。
※18 RAD選手:リアルタイム対戦型モバイルカードゲーム「クラロワ」で、「FAV Gaming」に所属しているプロゲーマー。2017年に開催された日本一決定戦の予選大会で3度の優勝を果たす。
※19 けんつめし選手:リアルタイム対戦型モバイルカードゲーム「クラロワ」で、「FAV Gaming」に所属しているプロゲーマー。2017年に開催された日本一決定戦の予選大会で1度優勝を果たす。
※20 July選手:リアルタイム対戦型モバイルカードゲーム「クラロワ」で、韓国の「KING-ZONE DRAGONX」に所属しているプロゲーマー。
※21 ラヴァハウンド:「クラロワ」のカードの一つ。7コストの空中ユニット。
※22 ゴーレム:「クラロワ」のカードの一つ。8コストの地上ユニット。
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